松戸南部市場「Humton」- 絶品和イタリアンと、困難を乗り越えた復活の物語

ヒガマツコ

千葉県松戸市に位置する松戸南部市場。プロの料理人たちが集うこの活気あふれる場所に、ひときわ異彩を放つ一軒の食堂があります。それが、今回ご紹介させていただく「和イタリアン食堂 Humton(ハムトン)」です。

市場の食堂らしいボリューム満点の料理と、洗練されたイタリアンの技法が融合した「和イタリアン」をコンセプトに掲げ、多くの人々の舌と心を掴んで離しません。しかし、その魅力は料理だけに留まりません。お店の歴史には、オーナーシェフを襲った突然の試練と、そこからの感動的な復活の物語がありました。

本記事では、Humtonの看板メニューである王道のナポリタン、そして復活の象徴となったオムライスの魅力に迫るとともに、その背景にある情熱と再生の物語をお伝えしていきます。

はじめに:活気と伝統が交差する松戸南部市場

私たちの食生活を支える「市場」。早朝から威勢の良い声が響き渡り、新鮮な食材が所狭しと並ぶ光景は、まさに食の最前線です。松戸市にある松戸南部市場もまた、そんな活気に満ちた場所の一つ。1970年(昭和45年)の開場以来、地域の食文化を支え続けてきた歴史ある市場です。

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プロの買い付け人だけでなく、一般の人々も気軽に買い物を楽しめるのがこの市場の魅力。新鮮な魚介類や青果はもちろん、関連食品棟には精肉店や乾物店などが軒を連ね、歩いているだけでも心が躍ります。

そんな市場の一角に、ヨーロッパの街角にあるカフェのような、素敵な佇まいのお店が存在します。グリーンの扉が目印の「和イタリアン食堂 Humton」。今回は、市場という伝統的な空間で独自の輝きを放つ、このお店の物語を取材させていただきました。

市場のオアシス「Humton」の世界観

洗練された空間と「和イタリアン」という哲学

市場の喧騒の中に足を踏み入れると、Humtonの放つモダンな雰囲気に目を奪われることでしょう。店内は明るく開放的で、店内ではオーナーシェフ御夫婦が、訪れる人々を温かく迎えてくれます。まさに、市場で働く人々や買い物客にとっての癒やしのオアシスと言える空間です。

Humtonが掲げるコンセプトは「和(=日本人好み)を意識したイタリアン」。これは、単に和の食材を使ったイタリア料理というわけではありません。イタリア料理の技術を基盤としながらも、私たち日本人が慣れ親しんだ味わいや食文化に寄り添い、再構築するという深い思想が込められています。

日々最高の食材に触れている市場関係者の肥えた舌を唸らせるには、小手先の奇抜さだけでは通用しません。Humtonの料理には、誰もが納得いく美味しさと、毎日でも食べたくなるような親しみやすさが見事に共存しています。

店名に込められた温かい想い

ところで、皆様は「ハムトン」という店名を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。多くの方が、美味しい豚肉の「ハム(ham)」を連想されるかもしれません。しかし、その想像は良い意味で裏切られます。お店のスペルをよく見ると「Humton」。食べるハム(ham)ではなく、「Hum」から始まっていることにお気付きになるでしょう。

実はこの「Hum」は、心地よい鼻歌を意味する「ハミング(Humming)」から取られています。店名は「ハミング(Humming)」と「タウン(Town)=街」を組み合わせた、オーナーの想いが詰まった造語なのです。

それは、ただ食事を提供するだけでなく、訪れた人が思わず鼻歌を歌ってしまうような、心地よく楽しい時間と空間、つまり一つの小さな「街(コミュニティ)」を創りたいという、温かい願いに他なりません。美味しい料理の前に、まずこの素敵な名前の由来を知ることで、お店への親しみが一層深まりますね。

苦難と再生の物語:伝説のオムライス

数あるメニューの中でも、Humtonの歴史と最も深く結びついているのが「オムライス」です。ふわふわの卵に包まれたチキンライス、そして丁寧に作られたデミグラスソース。多くのファンを虜にしてきたこの一皿は、単なる人気メニューに留まらない、お店の復活を象徴する特別な存在となりました。

実はHumtonは、オーナーシェフの健康上の理由により、長期間の休業を余儀なくされた時期がありました。それは先行きが見えず、多くのお客様が心配の声を寄せる、苦難の時間でした。

長い沈黙を経て、お店が営業を再開した時。そして、療養されていたシェフが本格的に厨房へ復帰された時。その復活の狼煙(のろし)として選ばれたのが、このオムライスだったのです。

店は「オムライス週間」と銘打ち、当面の間、このオムライス単品のみで営業を再開されました。それは、回復途上のシェフが集中して最高のクオリティを提供できる、いわば原点の一皿であると同時に、多くの常連客が待ち望んでいた、まさにお店の「魂」とも言えるメニューでした。

この物語を知ってからいただくオムライスは、きっと格別な味わいがすることでしょう。

厳選された、物語のあるメニューたち

Humtonのメニューは、どれもお店の哲学を雄弁に物語っています。オーナーシェフが厨房に復帰された現在、一皿一皿に最高のクオリティを注ぎ込むため、メニューは厳選された数品で提供されています。

そこには、お店の歴史、シェフの想い、そして地域への愛が凝縮されています。現在、私たちが味わうことのできる、珠玉の3品をご紹介させていただきます。

伝説の復活を告げる一皿:Ome-Reysol(オムライス)

数あるメニューの中でも、Humtonの歴史と最も深く結びついているのが、この一皿です。その名も「Ome-Reysol(オムレイソル)」。画像からもわかる通り、これは単なるオムライスではありません。

オムライスの「オム(Ome)」と、サッカーチーム「柏レイソル(Reysol)」をかけた、遊び心と地域愛にあふれた特別な名前が付けられています。

ふわふわに仕上げられた卵がチキンライスを優しく包み込み、深くコクのあるデミグラスソースがかけられた王道のスタイル。このオムライスこそ、オーナーシェフが療養から復帰された際に、お店の復活を告げる象徴となった一皿です。多くのお客様が待ちわびたこの味わいは、Humtonの魂そのものと言えるでしょう。

不動の定番:昔ながらのナポリタン

日本の洋食文化を代表する「ナポリタン」もまた、Humtonで不動の人気を誇るメニューの一つです。ケチャップの甘みと酸味が効いたソースがパスタによく絡み、どこか懐かしく、そして心から安心できる味わいが口いっぱいに広がります。

奇をてらわない、王道のナポリタン。しかし、そこにはシェフの丁寧な仕事が光ります。誰もが愛する定番メニューを最高のクオリティで提供すること。これもまた、Humtonが地域に深く根ざし、多くのお客様に愛される理由なのでしょう。

革新者の顔:創造性あふれる「ずんだパスタ」

「和イタリアン」というHumtonのコンセプトを最も鮮やかに表現しているのが、独創性あふれる「ずんだパスタ」です。

東北地方の郷土食である「ずんだ(枝豆)」をパスタソースに昇華させるという、大胆な発想。枝豆の優しい甘みと豊かな香りがクリームソースと見事に融合し、他では決して味わうことのできない、唯一無二の一皿を生み出しています。

日本の食材への深い愛情、そしてイタリアンの技法。それらが結集したこのパスタは、Humtonの革新的な一面を象徴するスペシャリテです。

現在の営業スタイルと嬉しいサービスについて

現在お店では、お客様に心地よく過ごしていただくための配慮がなされています。

  • 座席数を縮小し、1〜2名様でのご利用をおすすめしています。
  • お水や各種調味料などはセルフサービスとなっています。
  • ご紹介したお食事メニューは、全品プラス100円でコーヒーまたはソフトドリンクをセットにできます

シェフの健康を第一に考え、お客様一人ひとりに最高の料理と時間を提供したいという、お店の誠実な姿勢が伝わってきます。ご来店の際は、こうしたお店の想いに心を寄せ、ゆっくりと食事を楽しまれてはいかがでしょうか。

地域と共に歩むHumton:メディアが愛し、人が集う場所

Humtonの魅力は、その料理や物語だけではありません。地域社会との深い繋がりもまた、このお店を特別な存在にしています。

その象徴が、サッカーJリーグチーム「柏レイソル」との連携です。Humtonは公式に「アソシエイツ提携店舗」となっており、メニューに「オムレイソル」と名付けるなど、その地域愛は料理にも表れています。

そして、その評判は口コミやブログに留まらず、多くのテレビメディアからの注目度の高さにもはっきりと示されています。店内の壁を見渡せば、その歴史は一目瞭然。そこには、これまでに取材で訪れた数々のテレビ番組の写真と、来店された著名人のサイン色紙が所狭しと飾られています。

例えば、テレビ朝日の人気番組『じゅん散歩』で俳優の高田純次さんが訪れた際の写真やサイン。報道番組であるTBS『Nスタ』やフジテレビ『ノンストップ!』で紹介された記録。さらには、V6の坂本昌行さん、チバテレビの番組ロケで来店されたAKB48の坂口渚沙さん、吉川七瀬さんなど、錚々たる方々のサインが並びます。

店舗情報とアクセス

最後に、「和イタリアン食堂 Humton」の基本情報をご紹介させていただきます。

項目詳細
店名和イタリアン食堂 Humton(はむとん)
所在地〒270-2241 千葉県松戸市松戸新田30 松戸南部市場内
電話番号047-365-8838
営業時間11:00~14:00
定休日水曜日・日曜日
公式ウェブサイトhttps://sites.google.com/view/humton/
アクセス・JR常磐線・新京成線「松戸駅」東口からバスで約10分
・新京成線「上本郷駅」から徒歩約20分
・駐車場完備(松戸南部市場内)

※営業時間や定休日は変更となる場合がございますので、ご来店の際は事前に公式ウェブサイト等でご確認いただくことをお勧めいたします。

むすびに:一皿に込められた人生の味わい

今回、「和イタリアン食堂 Humton」を取材させていただき見えてきたのは、深い人間ドラマとコミュニティの温かさでした。

松戸南部市場というプロの食の現場で、「和イタリアン」を掲げた一軒の食堂。その歴史は、オーナーシェフを襲った試練と、そこからの復活の物語に彩られています。復活の象徴である「Ome-Reysol(オムレイソル)」をはじめ、シェフの魂が込められた厳選された一皿は、今も多くの人々を魅了し続けています。

店内の壁を埋め尽くすように飾られた、写真や著名人のサイン色紙。このお店がどれほど多くの人々に愛され、支えられてきたかの何よりの証拠です。

Humtonを訪れることは、その温かい物語の証人になること。市場の活気の中で、一皿に込められた味わいを、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。

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ヒガマツコ
王国広報騎士団長
ヒガマツ王国・広報のヒガマツコです。任務は、東松戸のあらゆるスポットを巡り、隠れた魅力(お宝)をSNSで世界に発信すること。私の調査は、相棒犬ピーノくんの超人(超犬?)的な嗅覚「タイムマシン・ノーズ」が頼りです。地元の皆様と力を合わせ、この国が「わざわざ訪れたい」と世界中の人が憧れる場所になることを目指し、日々全力で東松戸の魅力をお届けします!
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