市川・新田「カフェ・ワニシャン」取材|元技術職の店主が「論理」で追求した究極の癒やしと美食
JR市川駅北口から徒歩約7分、新田エリアの住宅街に位置する「Café WANISHAN(カフェ・ワニシャン)」。
一見すると、絵本に囲まれた可愛らしいカフェですが、その裏側には元技術職の店主・佐藤さんによる「美味しさへの論理的アプローチ」が隠されていました。
「理想の甘さを出すために焼き芋機を自作する」「食品ロスを数%に抑える合理的な経営」など、エンジニア出身ならではの視点が光ります。
学生時代のアルバイト経験と、共同創業者・蒲地さんとの運命的な出会いから生まれたこの店。
大手チェーン店にはない「ゆったりとした時間」と、理系脳で計算し尽くされた「料理」の魅力を、東松戸エリアの読者に向けて徹底レポートします。
その「美味しさ」には、理由(ロジック)がある
東松戸から電車に揺られて約20分。多くの人々が行き交う市川駅の喧騒を抜け、北口の「新田(しんでん)」エリアへ足を踏み入れると、街の空気は穏やかなものへと変わります。
静かな住宅街の中に、ひっそりと、しかし確かな存在感を放つ一軒のお店があります。「Café WANISHAN(カフェ・ワニシャン)」です。
「絵本カフェ」「小上がり席があるお店」として親しまれている同店ですが、その居心地の良さと料理の美味しさを支える「意外な秘密」に触れることになりました。
それは、店主の佐藤さんが元技術職のサラリーマンであり、料理を「感覚」ではなく「論理」で構築しているという事実です。
今回は、エンジニアの魂を持つ佐藤さんが作り上げた、合理的かつ情熱的な「癒やしの空間」の全貌に迫ります。
40歳での決断:「ものづくり」の経験を店舗経営へ
2018年にオープンしたカフェ・ワニシャン。その創業の背景には、佐藤さんのキャリアにおける大きな転換点と、共同創業者との運命的な合致がありました。

サラリーマン時代の経験が「経営」への意欲に
佐藤さんはもともと、企業の技術職として働くサラリーマンでした。しかし、40歳という年齢を境に「脱サラ」を決意します。
佐藤さんは当時をこう振り返ります。
「サラリーマン時代は営業や設計、管理など、いわゆる『ものづくり』に幅広く携わってきました。そうした経験を積み重ねるうちに、自分自身の手でゼロからお店を作り、経営してみたいという思いが強くなっていったんです」
単なる憧れではなく、設計や管理といった実務経験が、店舗という「箱」を作り運営するベースになっているのです。
「絵本」×「本格料理」のコンセプト誕生
そんな折、佐藤さんは現在の共同創業者である蒲地さんと出会います。
蒲地さんは当時、ご自身で収集・貯蔵していた大量の絵本を「もっとみんなに見てもらえるような場所を作りたい」と考えていました。
- 佐藤さん: お店を作って経営したい、料理を提供したい
- 蒲地さん: 絵本を楽しめる空間を作りたい
二人の想いは見事に合致し、意気投合。「絵本に囲まれながら本格料理が食べられる」をコンセプトに、共同でワニシャンをつくり上げることになりました。
メニュー開発には、佐藤さんが学生時代にイタリアンレストランで培った調理経験が存分に活かされています。
エンジニア魂が炸裂:極上の焼き芋を生み出す探究心
佐藤さんの「論理的な探究心」を象徴する、驚くべきエピソードがあります。
それは、メニューやスイーツの素材として使われる「さつまいも」に関するお話です。
ネットの情報では満足できない
ある時、佐藤さんは理想の焼き芋を作るため、インターネット上のあらゆるレシピや火入れ方法を試しました。しかし、何度やっても自分が目指す「理想の甘さ」には到達しませんでした。
そこで佐藤さんがとった行動は、まさにエンジニアそのものでした。
- 文献調査: 既存のレシピに見切りをつけ、専門的な文献を読み漁る。
- 理論の発見: さつまいもがある一定の温度帯で甘味成分(マルトース)を生成することに着目し、「特定の温度を一定時間キープすること」が重要だと突き止める。
- 独自プロセスの構築: ここからが佐藤さんの真骨頂。専用の機械を導入するのではなく、手持ちのオーブンの性能特性を深く理解し、一定温度を保てる運用法を編み出しました。機械の操作から、庫内に入れる芋の並べ方や荷姿(包装など)に至るまで、細部にわたる工夫を凝らすことで、既存の設備で極上の焼き芋を完成させました。まさにハードウェア(機械)ではなく、プロセス(工程)をエンジニアリングした結果です。
素材の「旬」も見極める
さらに、トライアンドエラーは調理法だけに留まりません。「いつ仕入れるか」というタイミングについても研究を重ねました。
その結果、「収穫してすぐ(出始め)の芋ではなく、少し寝かせて熟成が進んだ時期のものが良い」という事実に到達。
私たち客が何気なく口にしている甘いさつまいも一つとっても、そこには膨大な実験とデータ分析、そして自作マシンという佐藤さんの「執念」が詰まっているのです。
食品ロスを数%に抑える「経営学」

ワニシャンの「論理」は、キッチンの中だけではありません。経営スタイル、特に飲食店が抱える最大の課題である「廃棄ロス(食品ロス)」の問題に対しても、極めて合理的なアプローチを行っています。
野菜はヘタまで、無駄を生まない仕組み
「売上から原価を引いたものが利益になる」。このシンプルな計算式を最大化するために、佐藤さんは徹底的なロス削減に取り組んでいます。
- 食材を使い切る: 野菜のヘタや皮など、通常は捨ててしまう部分も出汁や工夫次第で活用する。
- 仕入れの厳選: 保存が難しく廃棄リスクが高い食材は、最初からメニュー構成に入れない、あるいは扱いを変える。
これらの努力により、同店の食品廃棄ロスは驚異の数%台に抑えられているそうです。
「もったいない」という精神論だけでなく、経営を安定させ、その分をお客様への価格や質で還元する。ここにも、元技術職らしい佐藤さんの合理的な経営哲学が垣間見えます。
看板メニュー「オムライス」の意外な誕生秘話
現在でこそ「ワニシャンといえばオムライス」と言われるほどですが、実は開業当初、オムライスはメニューに存在していませんでした。
当時は、佐藤さんのイタリアンでの経験を活かした「パスタ」がメインのお店だったのです。
「オムライスも食べたい」に応えた合理的な解決策
転機となったのは、ある常連客からの「ここでオムライスも食べてみたい」という一言でした。
お客様の要望には応えたい。しかし、新たに食材を仕入れればロスが増えるリスクがある。
そこで佐藤さんの「理系脳」が導き出した答えが、「パスタの食材を転用して、合理的にオムライスを作る」ことでした。
- パスタ用の材料を、オムライスの具材にする
- パスタソースのベース(トマトソースやクリームソース)を、オムライスのソースに応用する
こうして、「パスタの食材でも美味しく作れる合理的なオムライス」が誕生しました。
これが結果として、他店にはない独創的な味を生み出し、今ではパスタと並ぶ人気メニューへと成長したのです。

ケチャップオムライス
- ライスの味付けには、「ナポリタン」と全く同じ自家製ソースを使用しており、どこか懐かしい味わいに仕上がっています。
- 通常、小麦(パスタ)と米(ご飯)では甘みや旨味の質が異なるため、ソースの完全流用は美味しくならないことが多いといいます。しかし、ワニシャンの自家製ブレンドは偶然にも両方に完璧にマッチ。「論理」で食材を共通化しようとした結果、計算だけでは説明できない「奇跡の相性」が発見されたそうです。具材のレンコンによるシャキシャキ食感にも最後まで飽きさせない工夫が施されています。
【1月限定】鮭とほうれん草のホワイトソースオムライス
- なんと「ガーリックソーセージ」を使ったケチャップライス。玉ねぎと白ワインを効かせた、大人な味わいのホワイトソース。
- 濃厚なソースとスパイシーなライスの組み合わせは、まさに「計算された美味しさ」。自分へのご褒美にぴったりの一皿です。

明太子クリームパスタ

女性人気の高い王道メニュー。濃厚なクリームソースに明太子が絡み、海苔の風味がアクセントになった間違いのない一皿です。
【冬限定】アップルクレープ
コンポートにしてバターキャラメリゼしたリンゴを使用。シャリッとした食感がアクセントになっています。

【冬限定】蜜芋クレープ
長時間かけて甘みを引き出した焼き芋を、もちもちのクレープで包みました。塩味バターとの相性が抜群で、クレープ表面はパリッとキャラメリゼされています。まさに研究の結晶です。
論理が生み出した「サードプレイス」
料理や経営はロジカルですが、お店の雰囲気はどこまでも温かく、アナログです。
「会社員時代、自分が心から安らげる場所がなかった」
その原体験から、佐藤さんは「効率」とは対極にある「くつろぎ」を作り出しました。
800冊以上の絵本とこたつ風の小上がり席
店内には、共同創業者の蒲地さんの蔵書を中心とした800冊以上の絵本が並びます。
そして、奥には靴を脱いで上がる「こたつ風の小上がり席」が。
回転率を重視する大手チェーン店では、長居を誘発するような設備は敬遠されがちです。
しかし、ワニシャンではあえてくつろげる空間を用意することで、「客が時間を忘れて滞在できる」という独自の価値を提供しています。
合理的な裏付けがあるからこそ、表側の「非合理なほどのくつろぎ」が維持できているのかもしれません。
店名の由来は?
ちなみに「ワニシャン」という店名は、共同創業者の蒲地さんが大好きだった「ももいろクローバーZ」のリーダー・百田夏菜子さんが蒲地さんの息子さんと同級生だったというご縁から名付けられたそうです。
お店のデザインである「シャンプーするワニ」のキャラクターも、このストーリーを知るとより愛おしく感じられますね。

6. 店舗情報・アクセス
東松戸エリアの皆さんも、ぜひこの「理系店主が作る癒やしの空間」を体験してみてください。
基本情報
- 店名: Café WANISHAN(カフェ・ワニシャン)
- 住所: 千葉県市川市新田5丁目13-14
- 最寄駅: JR総武線 市川駅(徒歩約5分)、京成本線 市川真間駅(徒歩約6分)
- 営業時間: 11:30 〜 17:00
- 定休日: 月曜日、祝日の翌日
- 電話: 080-9533-3579
- 駐車場: なし(近隣のコインパーキングをご利用ください)
- 駐輪場: あり
- 設備: おむつ替えベッドあり
まとめ
市川市の閑静な住宅街にある「Café WANISHAN(カフェ・ワニシャン)」は、単なる飲食店ではありませんでした。
元技術職の佐藤さんが40歳で踏み出した「脱サラ」という挑戦。そして、共同創業者・蒲地さんの絵本への想い。
これらが重なり合って生まれた空間は、大手チェーン店には真似できない「論理に裏打ちされた優しさ」で満ちています。
特に、パスタの食材を転用するという合理的な発想から生まれたオムライスが、今や看板メニューとして多くの人を虜にしている事実は、佐藤さんの「ものづくり魂」の真骨頂と言えるでしょう。
「美味しい料理には、理由がある」
東松戸から少し足を延ばしてでも訪れる価値が、ここにはあります。
ぜひ次の休日は、ゆったりした空間で絵本をめくりながら、計算し尽くされた絶品料理を味わってみてください。心も体も「癒やされる」はずです。
※本記事の情報は取材時点(2026年1月)のものです。最新の営業情報は店舗SNS等をご確認ください。






