【松戸市松飛台】bakery cafe 三日月(みかづき)訪問記。栄養士とグランメゾン出身オーナーが紡ぐ、絶品パンと癒しの空間
千葉県松戸市、東松戸エリアからもほど近い松飛台の閑静な住宅街に、知る人ぞ知る「bakery cafe 三日月(ベーカリーカフェ みかづき)」が静かに佇んでいます。
2024年春にオープンしたこのお店は、単なるベーカリーカフェではありません。オーナーは、「栄養士」としての科学的知見と、かつて東京・芝公園に存在した伝説的グランメゾン「クレッセント」(ミシュラン二つ星)での修業経験という、二つの異なる背景をお持ちの職人です。
この記事では、私ヒガマツコが実際に訪問させていただき、その洗練された空間、看板商品の「三日月クロワッサン」をはじめとするパンの味わいを詳しく書かせていただきます。
松飛台の住宅街に佇む、洗練された「隠れ家」

主要な幹線道路から一本入った、松戸市松飛台の落ち着いた住宅街。その一角に、まるで以前からそこにあったかのように溶け込む、洗練された外観の建物が現れます。それが「bakery cafe 三日月」です。
「隠れ家」という言葉がこれほど似合う場所も珍しいかもしれません。私ヒガマツコがお店の前に立つと、そのシンプルながらも温かみのあるデザインに、入る前から期待が高まります。
扉を開けて一歩足を踏み入れると、まず迎えてくれるのは、芳醇なバターと小麦の焼ける香ばしい匂い。
店内は決して広くはありませんが、大きな窓から光が差し込む落ち着いた空間が広がっています。目の前のショーケースには、まるで宝石のように、一つひとつ丁寧に作られたパンやケーキが美しく並べられていました。そのどれもが、職人の確かな手仕事を感じさせます。
奥には、可愛らしい木のテーブルが3つほど置かれたイートインスペースが設けられています。取材当日も、平日にもかかわらず客足は絶えず、地域の皆様に既に深く愛されている様子が伝わってきました。
このイートインスペースで、購入したばかりのパンとこだわりのドリンクをその場で味わう。そんな静かで満ち足りた時間を過ごせるのも、このお店の大きな魅力です。
なぜ「三日月」なのか?オーナーの類まれなる経歴

この「bakery cafe 三日月」のパンや菓子が放つ独特の魅力は、どこから来るのでしょうか。その秘密は、オーナーの持つ二つの専門性にありました。
一つは、食を科学的に捉える「栄養士」としての視点です。
オーナーは栄養士の資格をお持ちであり、食が健康な身体を作るという確固たる哲学を持たれています。
そしてもう一つが、食を芸術の域まで高める「グランメゾン」での経験です。
オーナーは、かつてミシュランガイドの常連としても知られた名門フレンチレストランで修業を積まれた経験をお持ちです。
「健康」と「美味しさの追求」。一見すると相反するようにも思えるこの二つの要素を、オーナーは自身の工房で見事に融合させているのです。
伝説のグランメゾン「クレッセント」の魂
オーナーの経歴を語る上で欠かせないのが、その修業先であるグランメゾン「クレッセント(THE CRESCENT)」です。
東京・芝公園に存在した「クレッセント」は、1957年にレストランとして開業(前身は1947年の古美術商「三日月」)して以来、長きにわたり日本のフランス料理界を牽引してきた、まさに「グランメゾン中のグランメゾン」と呼ばれる伝説的な名店でした。
ミシュランガイド東京版においても「二つ星」を獲得し続け、多くの食通たちから愛され続けましたが、惜しまれつつも2020年10月に、63年という長い歴史に幕を下ろしました。
注目すべきは、その店名「クレッセント」がフランス語で「三日月」を意味することです。
オーナーが自身の新しいお店に「三日月」という名を冠したのは、ご自身が技術と精神を磨き上げた場所への深い敬意と、そこで培った最高峰の技術を、この松戸の地で表現するという強い決意の表れに他なりません。
「クレッセント」の魂は、形を変え、この松戸市松飛台の地で、美味しいパンとして確かに息づいているのです。
すべての原点。「ももぱん」の優しさの哲学
「三日月」の現在を理解するためには、その前身である「ももぱん。栄養士が作る優しいパンとお菓子のお店」の存在を知る必要があります。
オーナーは2015年から2023年までの8年間、東京・墨田区八広周辺で「ももぱん」を営んでいらっしゃいました。店名が示す通り、そこでは栄養士としての知識を活かした「優しさ」がコンセプトの中心でした。
特筆すべきは、素材への徹底したこだわりです。
- 北海道産小麦100%の使用:風味豊かで安全なパン作りの根幹として、当時から一貫して北海道産小麦にこだわり。
- アレルギーへの配慮:栄養士の知見に基づき、卵・乳製品を使用せず、代わりに米油を使ったパンを開発するなど、誰もが安心して楽しめるパンを追求。
- 無添加へのこだわり:ケーキなどの菓子類も、毎日食べられる無添加のものを目指す。
また、単に販売するだけでなく、頻繁に親子パン教室を開催。「からだは食べ物で作られること」「手作りの楽しさ」といった食育活動にも尽力され、地域コミュニティに深く根差したお店でした。
「ももぱん」は、オーナーの食に対する哲学の原点であり、その「優しさ」の精神は、「三日月」にも確実に受け継がれています。
墨田区から松戸へ。進化を遂げたパン作り

2023年7月、「ももぱん」は墨田区での歴史に幕を下ろします。これは終わりではなく、新たなステージへの始まりでした。
現在は4児の母として育児にも奮闘されながら、ご夫婦二人三脚で夢を追いかけ、2024年春、この松戸市松飛台の地で「bakery cafe 三日月」としての再出発を果たされました。
「ももぱん」が栄養士としてのアイデンティティを前面に出した「優しさ」の表現だとすれば、「三日月」は、そこにグランメゾンで培った「技術と芸術性」を加え、円熟させた進化形と言えるでしょう。
その進化が最も顕著に表れているのが、「テロワール(土地の個性)」の受容です。
「ももぱん」時代から続く北海道産小麦100%へのこだわりという「幹」はそのままに、「三日月」では新たに、千葉県という土地の恵みを活かす「枝葉」が大きく育まれています。
公式のInstagramでは、「季節のフルーツや野菜が美味しすぎて本当に幸せ」と綴られており、いちじく、梨、さつまいも、かぼちゃといった、千葉県産や旬の食材をふんだんに使ったパンやケーキが次々と登場しています。
訪れたら絶対食べたい!ショーケースに並ぶ「三日月」の看板メニュー
ショーケースには、オーナーの技術とこだわりが詰まった美しいパンやスイーツが並んでいます。ここでは、初めて訪れる方にぜひチェックしていただきたい、お店を代表する看板メニューや評判の逸品をご紹介します。
店名を冠する逸品「三日月クロワッサン」
まず押さえておきたいのが、店の名を冠した看板商品「三日月クロワッサン」です。
袋を開けた瞬間に広がる芳醇なバターの香りが特徴で、その品質の高さは折り重なる層の美しさからも見て取れます。
実際に購入された方からは、「表面はパリッと、中はしっとりしている」と絶賛の声が上がっています。
イタリアンのマイスターも「絶品」と評したという逸話もあり、グランメゾン仕込みの技術が遺憾なく発揮された一品と言えるでしょう。
(※暑い時期には品質保持のため提供を休む可能性もあるとのことですので、見かけた際は即購入をおすすめします。)
脇を固める実力派「米粉のカヌレ」

カヌレの命とも言える「外側のカリッとした食感」と「中のしっとり、もっちり感」のコントラストが絶妙です。
特筆すべきは、ラム酒など酒類を一切使用していないこと。米粉を使用し、甘さ控えめの上品な味わいに仕上げられています。アルコール不使用のため、小さなお子様でも安心して食べられると人気を集めており、「最後まで美味しく食べられる」「何個でもいけそう」と、幅広い層から支持されています。
しっとり濃厚「バスクチーズケーキ」
パンだけでなく、スイーツにも定評があります。中でもバスクチーズケーキは、「甘さ控えめ」で「しっとり」とした食感が特徴の人気商品です。チーズの濃厚なコクをしっかり感じさせながらも重すぎず、コーヒーや紅茶とのペアリングを楽しむのに最適な一品です。
ふわふわ食感「フォカッチャ」
食事パンとしておすすめなのがフォカッチャです。レビューによれば、その「ふわっふわ感」が最高だと称賛されており、そのまま食べるのはもちろん、料理に合わせて楽しむのも良さそうです。
その他にも、「白いちじくと紅茶のムースリーヌ」や「焼き芋のバスクチーズケーキ」といった季節限定品や、ラム酒を効かせた「レモンとラム酒のサバラン」など、大人の味覚に応える商品も並びます。
また、地元の梨園から仕入れた和梨を使った「和梨のフレッシュジュース100%」や「エスプレッソトニック」など、こだわりのドリンクメニューも充実しており、「ベーカリーカフェ」として店内でゆっくり楽しむのもおすすめです。
地域に愛される温かな空間
「三日月」が提供するのは、美味しいパンや菓子だけではありません。訪れた人々が口を揃えるのは、その「温かく、優しく、ホッとする」雰囲気です。
オーナーやスタッフの方々の素敵なお人柄も、その居心地の良さを作っておりました。新しいお店でありながら、既に「地元の方に愛されているお店」として確固たる地位を築いていることが、ひっきりなしに訪れるお客様の姿から伝わってきました。
手作りならではの魅力を感じ、味わうことこそが、アルチザン(職人)ベーカリーを訪れる醍醐味だと、私は感じました。
店舗情報とアクセス(東松戸からの行き方)
最後に、「bakery cafe 三日月」の基本情報と、東松戸エリアの読者の皆様に向けたアクセス情報をご紹介します。
店舗基本情報
- 店名: bakery cafe 三日月(ベーカリーカフェ みかづき)
- 住所: 〒270-2213 千葉県松戸市松飛台267-1
- 営業時間: 10:00~16:00
- ※売り切れ次第終了となります。
- 定休日: 日曜日、月曜日、火曜日(祝日も休みの場合があります)
- ※最新の営業日は、公式Instagramなどでご確認いただくことをお勧めします。
- 公式情報: お問い合わせはInstagramのDMにて承っているとのことです
(https://www.instagram.com/mikaduki_bakery_cafe)
アクセス方法
- 電車でのアクセス:
- 新京成線「くぬぎ山駅」より 徒歩約15分 (約750m)
- 東松戸駅からのアクセス例:
- 東松戸駅はJR武蔵野線と北総線が通っています。
- ルート1(武蔵野線・新京成線 利用):
- JR武蔵野線「東松戸駅」から乗車(府中本町方面へ1駅)
- 「新八柱駅」で下車
- 隣接する新京成線「八柱駅」へ乗り換え
- 新京成線(京成津田沼方面)に乗車
- 「くぬぎ山駅」で下車(約7分)
- 「くぬぎ山駅」より徒歩約15分
- ルート2(北総線 利用):
- 北総線「東松戸駅」から乗車(印旛日本医大方面へ1駅)
- 「松飛台駅」で下車
- 「松飛台駅」より徒歩(約20分程度)
取材後記:満ちていく松戸の「三日月」

「bakery cafe 三日月」は、単なる新しいベーカリーではありませんでした。
それは、「栄養士の魂」と「パティシエの手」を持つ一人の職人の、キャリアと人生が織りなす物語の結晶です。
北海道産小麦という信念を貫きながら、松戸という新しい土地の恵み(テロワール)を受け入れ、それを伝説のグランメゾンで培った技術で昇華させる。
店名に冠された「三日月」は、始まりの象徴だと感じました。
墨田区から松戸へ、パン屋からベーカリーカフェへ。そして、家族と共に歩む新たなステージへ。
地域に深く愛され、多くの人々の日常に特別な幸福を灯すこの小さなベーカリーは、これから満月へと満ちていくように、その輝きを増していくに違いありません。
東松戸からも少し足を延ばして、この松戸の地に輝く希望の「三日月」を、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。






